Japanese
English
短報
幻視と行動異常を主訴に来院し塩酸ドネペジルが著効した後期高齢女性の2症例
Two old-old aged Woman patients with Visual Hallucinations and Problem Behaviors, Shown Marked Improvement after Donepezil Treatment
原田 貴史
1
,
園本 建
1
Takashi HARADA
1
,
Ken SONOMOTO
1
1雁の巣病院
1Department of Psychiatry, Gannosu Hospital, Fukuoka, Japan
キーワード:
Visual hallucination
,
Old-old aged patient
,
Donepezil
,
Dementia with Lewy bodies
Keyword:
Visual hallucination
,
Old-old aged patient
,
Donepezil
,
Dementia with Lewy bodies
pp.705-708
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101243
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
総務省の人口推計によると,2007年11月に75歳以上人口が総人口に占める割合が初めて10.0%に達した。1985年に65歳以上人口が総人口の10%を超えた当時,75歳以上人口は総人口の3.9%に過ぎなかった。今後,75歳以上高齢者(後期高齢者)の精神科臨床の重要性は増すと考えられる。
後期高齢者の女性2症例が,幻視や行動異常を主訴に来院した。甲状腺疾患,アルコール依存症,糖尿病や,下肢リンパ浮腫など合併症が多くみられ診断に苦慮したが,レビー小体型認知症(DLB)を疑い投与した塩酸ドネペジル(donepezil)が著効して良好な結果をたどった。DLBは,アルツハイマー型認知症,血管性認知症とともに三大認知症と呼ばれ,高齢者の認知症の約20%を占めるといわれる6)が,精神科臨床においてDLBは後期高齢者の異常体験や行動異常の原因疾患の1つであり,また早期より疑い初期診断7)してdonepezil治療を開始することが重要であると再認識する貴重な経験と考え,報告する。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.