Japanese
English
展望
統合失調症の転帰に関する文化精神医学知見
An Overview of Cross-cultural Studies on the Outcome of Schizophrenia
野口 正行
1
,
加藤 敏
2
Masayuki NOGUCHI
1
,
Satoshi KATO
2
1佐野厚生総合病院精神神経科
2自治医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Sano Kosei General Hospital, Sano, Japan
2Department of Psychiatry, Jichi Medical School
キーワード:
Schizophrenia
,
Cross-cultural
,
Outcome
,
Cultural concept
Keyword:
Schizophrenia
,
Cross-cultural
,
Outcome
,
Cultural concept
pp.606-616
発行日 2005年6月15日
Published Date 2005/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100824
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はじめに
前稿(本誌47巻5号)では統合失調症の発症率,症状をめぐる普遍性の問題について文化精神医学研究を展望し,検討を加えた。本稿で取り扱う統合失調症の転帰の問題については,IPSS81),DOSMD23)でも地域差があることが再現性を持って確認された。そのため,ここでは普遍性はあまり問題とはなっていない。むしろ転帰は,統合失調症にとって文化が持つ意味に直接アプローチするよい機会として注目を集めているところである。統合失調症が文化を含めた環境に埋め込まれていることを前稿で主張したが,転帰に関してはこの点がさらに主題的に取り扱われることになる。本稿では,統合失調症の経過,転帰に対して,文化が与える影響について検討してみたい。そして文化への着目が統合失調症の心理社会治療にとっていったいどのような意味があるのかを考えてみたい。
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