Japanese
English
短報
塩酸ドネペジルにより悪性症候群を呈したアルツハイマー型痴呆の1例
Donepezil-induced Malignant Syndrome in a Patient with Alzheimer Type Dementia
星越 活彦
1
,
中岡 健太郎
1
Katsuhiko HOSHIGOE
1
,
Kentarou NAKAOKA
1
1三光病院精神科
1Department of Psychiatry, Sankou Hospital
キーワード:
Donepezil
,
Malignant syndrome
,
Alzheimer type dementia
Keyword:
Donepezil
,
Malignant syndrome
,
Alzheimer type dementia
pp.303-306
発行日 2004年3月15日
Published Date 2004/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100459
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
塩酸ドネペジル(ドネペジル)は,わが国で初めて開発されたアルツハイマー型痴呆に対する治療薬であり,脳内のアセチルコリンエステラーゼを特異的に阻害することでシナプス間隙のアセチルコリン量を増加させる。そして,アルツハイマー型痴呆患者で低下した脳内コリン作動性神経における神経伝達を賦活化し認知機能を改善する効果を有している10)。精神神経系の副作用として,興奮や不眠,錯乱,抑うつ,不安,めまいなどが示されている4,11)。そのほかに,アルツハイマー型痴呆患者でせん妄が認められたとの報告14)や活動量が増加し易怒性や性欲が亢進したため逆に介護者の負担が増したとの報告8)がある。また,パーキンソン病やレビー小体型痴呆の患者では,錐体外路症状が顕在化し悪化した症例も報告されている3,9,12,13)。
今回我々は,アルツハイマー型痴呆患者にドネペジルを投与していたところ,悪性症候群を呈した症例を経験したので若干の考察を加え報告する。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.