Japanese
English
研究と報告
遅発性摂食障害について
Late Onset Anorexia Nervosa
木村 宏之
1
,
外ノ池 隆史
1
,
室谷 民雄
1
Hiroyuki KIMURA
1
,
Takashi TONOIKE
1
,
Tamio MUROYA
1
1名古屋第二赤十字病院精神科
1Nagoya Daini Red Cross Hospital
キーワード:
Eating disorder
,
Anorexia nervosa
,
Late onset
,
Mid-life
Keyword:
Eating disorder
,
Anorexia nervosa
,
Late onset
,
Mid-life
pp.235-242
発行日 2004年3月15日
Published Date 2004/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100448
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抄録
摂食障害は,思春期に好発し,医学的関心も思春期心性との関連に注がれてきた。しかしながら,近年,児童期の症例や中年期の症例など,思春期以外に発症する症例の増加が認められてきている。
今回,4例の遅発性摂食障害を経験した。4症例を通じ,思春期症例との比較や過去の文献を検討して,以下の知見を得た。(1)現実的な分離・喪失体験の影響が大きい。(2)重症化には,中年期における環境の硬直化が関与する。
摂食障害の発症機転や精神病理において,精神発達上の分離・喪失体験が重要視される。思春期の摂食障害では,心理的(内的)な分離・喪失体験の影響が大きいことに対し,遅発性摂食障害では,現実的(外的)な分離・喪失体験の影響が大きかった。これは,一般に,中年期が,各種の現実的な分離・喪失体験や幼少期の葛藤の再燃などを認める精神発達上の危機心性を持つこととも関連していると考えられた。
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