Japanese
English
短報
記憶障害を訴え続ける心気症(mnestic hypochondria)の1例
A Case of Mnestic Hypochondria with Persistent Memory Complaints
村田 佳江
1
,
仲秋 秀太郎
1,2
,
早野 順一郎
3
Yoshie MURATA
1
,
Shutaro NAKAAKI
1,2
,
Junichiro HAYANO
3
1名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学
2八事病院
3名古屋市立大学大学院医学研究科 臨床病態内科学
1Department of Psychiatry and Cognitive-Behavioral Medicine, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Nagoya, Japan
2Yagoto Hospital
3Department of Internal Medicine and Pathophysiology, Nagoya City University, Graduate School of Medical Sciences
キーワード:
Hypochondriasis
,
Mnestic hypochondria
,
Memory complaints
,
Insight
Keyword:
Hypochondriasis
,
Mnestic hypochondria
,
Memory complaints
,
Insight
pp.171-174
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100390
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はじめに
心気症とは,医学的な検査所見では異常がないにもかかわらず,自分が重篤な病気ではないかと疑い,執拗に再検査を要求することが多い疾患である1)。患者がこだわる症状は,頭痛や耳鳴り,しびれなどさまざまである。BerriosとHodges2)は,ケンブリッジにおけるメモリークリニックの患者データに基づき,神経心理学的な検査異常を認めないにもかかわらず,記憶障害を強く訴え続ける患者群を,心気症の一つととらえ,健忘症状を訴える心気症(mnestic hypochondria)という概念を提唱した。このような症例は,物忘れ外来などで少なからず遭遇すると思われるが,心気症の症例としての報告は,我々の知る限り,まだ十分に報告されていない。
今回,検査結果に異常がないにもかかわらず,長年にわたり記憶力が悪いと訴え続けた症例を経験した。BerriosとHodges2)の提唱する心気的な健忘症状の1例と考えられたので報告する。なお,本報告にあたっては患者本人からの書面による同意を得ている。
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