Japanese
English
短報
Subclinical hyperthyroidism下で躁状態を呈したBasedow病にquetiapineが著効した1症例
Quetiapine in Treatment of Manic State in A Patient with Basedow's Disease under Subclinical Hyperthyroidism
紀本 創兵
1
,
森川 将行
1
,
木内 邦明
1
,
芳野 浩樹
1
,
根來 秀樹
1
,
岸本 年史
1
Sohei KIMOTO
1
,
Masayuki MORIKAWA
1
,
Kuniaki KIUCHI
1
,
Hiroki YOSHINO
1
,
Hideki NEGORO
1
,
Toshifumi KISHIMOTO
1
1奈良県立医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Nara Medical University, Kashihara, Japan
キーワード:
Subclinical hyperthyroidism
,
Manic state
,
Basedow's disease
,
Antipsychotics
,
Quetiapine
Keyword:
Subclinical hyperthyroidism
,
Manic state
,
Basedow's disease
,
Antipsychotics
,
Quetiapine
pp.1117-1119
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100335
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はじめに
甲状腺ホルモンと精神症状との関連は躁状態,うつ状態などをはじめとして広く知られている。近年では,甲状腺機能は正常であるが,甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低下した状態となるsubclinical hyperthyroidism(以下,SCHT)の精神症状が注目されている。SCHTは,①甲状腺機能亢進症で治療により甲状腺機能が正常化した場合や,②甲状腺機能低下症で甲状腺末を服用している場合に多いとされている6)。
躁病相への治療薬としてはlithiumや抗てんかん薬が長く用いられているが,近年では副作用の少ない非定型抗精神病薬の躁病相への有効性が臨床試験で明らかとなっており使用頻度が増えている。
今回,我々は,SCHT下で急性躁状態を呈したBasedow病に,非定型抗精神病薬であるquetiapineを使用し著効した症例を経験したので,quetiapineの躁病相に対する有効性と,SCHTと精神疾患に関する文献的な考察を加え報告する。
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