巻頭言
「生活習慣病」としての精神疾患
寺尾 岳
1
1大分大学医学部脳・神経機能統御講座(精神神経医学)
pp.346-347
発行日 2005年4月15日
Published Date 2005/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100040
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生活習慣と疾患との関連は古くはHippocratesが指摘したことである。Hippocratesはすべての疾患の原因は体液の不均衡にあると推定し,この是正には生活習慣や環境を変えることが重要と考えた。具体的には,入浴や汗をかくこと,散歩やマッサージを推奨した。精神疾患がすべて体液の不均衡によるとは考えにくいが,今日「癒し」をキーワードに温泉やアロマセラピー,マッサージ,サプリメントの摂取など,いろいろなものが商業ベースに乗ってきていることは確かである。もっともらしい(素人が納得しやすい)コマーシャルで,エビデンスの乏しい手段が喧伝されるのを見聞きするにつけ,落ち着かない気持ちになるのは私だけだろうか? 科学的な検討の後に,エビデンスのはっきりしたものが生き残り,そうでないものが捨て去られるべきと考えるのは私だけではないだろう。
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