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Current Opinion
致死的心室不整脈—心疾患のない患者における最近の話題
Lethal Ventricular Arrhythmias in Patients without Obvious Structural Heart Disease
中沢 潔
1
Kiyoshi Nakazawa
1
1聖マリアンナ医科大学循環器内科
1Department of Cardiology, St. Mariania University School of Medicine
pp.821-826
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901949
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■致死的心室不整脈をめぐる最近の話題
周知のごとく突然死の原因としては,心室細動が重要である.成人の内因性突然死の中で心臓性突然死の半数以上を占め,Holter心電図の研究から,その原因の約80%は心室頻拍(VT)→心室細動(Vf),あるいはVfによるものであることが示されている.死亡例の研究から,若年者は原因不明の急性心不全が,中高年者は虚血性心疾患が多くを占めていると考えられている.若年スポーツ選手の突然死の剖検結果から,肥大型心筋症や原因不明の心肥大が多く,若年者の心臓性突然死の一因と考えられる.いずれにしても突然のVT/Vfによる不整脈死の多くは虚血性心疾患,心筋症,弁膜症などの心疾患患者にみられ,明らかな心疾患のないものが約10%程度存在すると考えられている.
心疾患を有する患者の心臓性突然死の治療・予防については多くの大規模研究が行われ,有効な治療法が示されている.ACE阻害薬やβ遮断薬の投与,背景にある高脂血症,高血圧などの治療が有効であることは認めざるをえないが,さらに確実な予防法が望まれる.現在,致死的VT/Vfの二次予防としては,植込み型除細動器(ICD)に勝るものはなく,欧米ではさらに一次予防の治療法としても治験(突然死の予防的ICD植込み術)も行われている.
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