Japanese
English
特集 Angiotensin Converting Enzymeと循環器疾患
ACE阻害薬と心不全—細胞内メカニズムと大規模試験
Angiotensin Converting Inhibitors in the Treatment of Heart Failure:The mechanism of action on the heart and the results of large-scale clinical studies
山沖 和秀
1
,
矢崎 義雄
1
Kazuhide Yamaoki
1
,
Yoshio Yazaki
1
1東京大学医学部第三内科
1Department of Internal Medicine III, Faculty of Medicine, The University of Tokyo
pp.459-465
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901246
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はじめに
ACE阻害薬(ACEI)は,心不全患者を対象とした大規模試験により予後を改善することが示され,現在,心不全の第一選択薬となりつつある.しかし,予後改善効果は統計的には有意であるが,予後不良の心不全を,完全に治る予後良好な疾患へと転換させるほどの力はない.また,治療効果の出現は遅く,少なくとも3〜6カ月しないと効果が現われず,治療効果の判定も困難である.また,ACEIにも種々の製剤があるが,作用持続時間,組織ACE阻害作用の差などが,どの程度心不全への効果と関連あるのか,また,至適投与量はどのくらいかなど,不明の点も多い.
本稿では,まず,心不全の病態を概説し,ACEIが心不全心へどのように好影響を与えるのか,その細胞内メカニズムを説明し,更に大規模試験の結果を概説したい.
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