ダグラスバッグの取扱いについて

Treatment of Douglas Bag.

I．はしがき

　最近に於ける肺機能検査の進歩はめざましいものがあり，その肺疾患に於ける診断的価値は極めて大であるため，各地の病院で臨床検査の一環として肺機能検査が盛んに行われる様になつた。肺機能は換気，ガス分布，拡散，肺循環に四大別されるがこのうち拡散，肺循環の測定は高価な機械と熟練を要し，どこの病院でも手軽に行うというわけにはいかない。これに反し換気機能は高価な装置を必要とせず，検査手技も比較的簡単で，しかもこれを正しく測定し，適切に評価することにより臨床上極めて有用な結果を得ることが出来る。換気機能の測定には主としてRespirometerが用いられているが，最大換気量，安静時分時換気量の測定にはダグラスバッグも用いられる。その他ダグラスバッグは運動時の換気量，酸素による開放回路法の残気量測定，Steady state法による一酸化炭素肺拡散能力の測定，混合ガスの作製にも利用出来，その肺機能検査上の応用範囲は極めて広い。本稿ではダグラスバッグの型，用途，取扱い方，応用法等についてわかりやすく解説したいと思う。