巻頭言
欧米医学教育の寸感
三方 一沢
1
1慶応大学
pp.453
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200510
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私は昨夏羽田空港を飛びたつて約半年の間欧米の医学のありかたの半面を視て来た。と申しても私の場合,「ロックフェラー」財団からの支援でしたので,欧米医学教育の実際,それもアメリカの特定の二,三大学で四ケ月余を視察に費すという先方のスケヂュールに従つたのですから全般を即断することは出来ないがその一端を而も最も感じた点を申上げるに過ぎないのです。然しとにかく,帰朝早々吾が国の本春の東京での学会を眺め又日常の医学教育に従事するにつれ,多少の所感なきにしもあらずという処ですので,その一端をかきつらねて見度いと思います。先ず欧米,ことにアメリカでは教授が医学教育に熱心で,而も責任を深く感じていることに感心させられました。教授は医学教育こそ第一義的な自らの責務と考えてをります。如何によい医学生を産み出すかに常に関心を持つているようです。その為には教授方法の改善や新らしい試みが常に討議され研究されております。例えば教授法に就ても多くの教材が常に用意され,創作されて,学生が目,耳から自然に学びとる様に施設が工夫されてをるのは勿論で,新らしい大学では実習室にはラジオ,テレビが備えられて教授室から直接に多くの各個の実習室に整然と伝えられている処も見ましたし,外科の手術の実際なども放送されておりました。勿論これは東大でも始められたそうで誠に結構なことと羨やましく感じている処です。
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