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大腸のポリープには上皮性および非上皮性,そして良性と悪性があり,まれなものも列挙するとTable 1のようにさまざまなものが存在するが1)〜3),臨床的に最も重要視されるのは悪性および悪性化の危険性のあるポリープである.悪性化の危険性のあるポリープの代表は腺腫であり,通常型腺腫やTAS(traditional serrated adenoma)に加え,近年mucin-rich TSA4)やserrated tubulovillous adenoma5),superficially serrated adenoma6)など新たな組織型が提唱され,これらの病変の意義や悪性化の機序の解析は今後の課題である.かつて過形成性ポリープは悪性化の危険性は極めて低いとされていたが,右側結腸に好発し過形成性ポリープと同様の細胞から構成されるが組織構築が異なるSSL(sessile serrated lesion)は,前癌病変として重要視されている.
非腫瘍性のポリープに関しては,それ自体には癌化の危険性はほとんどないので,出血や腸重積の原因とならないものは,必ずしも内視鏡的切除の適応とはならない.不要な切除を避けるためには内視鏡的鑑別診断が重要なため,ポリープの種類を熟知し,それぞれの組織学的特徴を理解するとともに内視鏡的特徴を把握しておく必要がある.特に,翻転した憩室や虫垂を不用意に切除すると腸穿孔となりかねないので,そのような病変の存在と特徴を知っておく必要がある.また,非腫瘍性であってもその病理組織像から悪性と誤診する危険性がある病変についても知っておく必要がある.例えば,炎症性ポリープ中にはしばしば奇異な大型核を有する間質細胞が出現し,肉腫や未分化癌と誤認する可能性がある.子宮内膜症は通常は粘膜下層以深での子宮内膜の増生に伴う腸管狭窄を呈するが,まれに粘膜内で増生しポリープの形状を呈することがある7).生検組織で子宮内膜腺が採取された場合,子宮内膜腺の核は大型であることから,大腸粘膜のつもりで観察すると癌と誤認する可能性がある.
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