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編集後記
新井 冨生
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1東京都健康長寿医療センター病理診断科
pp.257
発行日 2021年2月25日
Published Date 2021/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202258
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欧米ではBarrett食道腺癌(Barrett's esophageal adenocarcinoma ; BAC)の頻度が増加し,1995年前後から食道癌の主組織型となった.その後も食道癌の組織分類は扁平上皮癌が筆頭に記載されていたが,2019年のWHO分類 第5版ではついに腺癌が筆頭に記載されるに至った.一方,本邦における食道癌の主組織型は依然として扁平上皮癌であるが,H. pylori感染率の減少や食生活の欧米化,肥満率の増加などによりBACは増加中で,最新の調査によると食道癌の10%に迫りつつある.
本誌ではここ20年間に本号を含め8回ほどBarrett食道癌あるいは食道胃接合部癌について特集が組まれてきた.欧米に比べ,本邦でのBACはSSBE(short segment Barrett's esophagus)を背景として発生する割合が非常に高く,その内視鏡診断および病理診断に苦慮することは比較的少ない.しかし,欧米で多いとされるLSBE(long segment Barrett's esophagus)を背景とした病変は本邦においてはまれであり,その内視鏡的な拾い上げ診断,さらには質的・範囲診断が極めて難しいとされる.そこで,本号ではBACに関する最新の知見を発生母地となるSSBEとLSBEに分けて論じていただき,それぞれの内視鏡診断と治療の確立を目指すことを目的とし,小山,竹内,新井で担当し企画した.
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