今月の主題 非腫瘍性大腸ポリープのすべて
グラフ
隆起型mucosal prolapse syndrome
小澤 俊文
1
1佐藤病院消化器内科
pp.1206-1207
発行日 2013年7月25日
Published Date 2013/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113901
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概念・病態
直腸の粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome of the rectum ; MPSR)とは,排便時間が長い人や排便時にいきむ習慣をもつ人(strainner)に生じることが多い,顕在または潜在性の直腸粘膜のずれに伴う粘膜の虚血や過形成性変化の結果として,直腸の前壁を主体に隆起や潰瘍,発赤を形成する症候群とされる1).
呼称の歴史的変遷は,1830年にCruveilhierが直腸の慢性潰瘍として最初に記載したことに始まる.1969年にMadigan,Morsonらが直腸の前壁を主体とした非特異的孤立性潰瘍68例の臨床病理学的検討を報告し,孤立性直腸潰瘍(solitary ulcer of the rectum)として認知されるようになった.以後,直腸孤立性潰瘍症候群(solitary ulcer syndrome of the rectum ; SUS)や,限局性深在囊胞性大腸炎(localized colitis cystica profunda ; CCP)といった報告もなされたが,患者背景や病態概念,病理組織学的な類似性などから同一範疇の疾患と考えられるようになった.1983年にdu Boulayら2)により,粘膜脱が深く関与していると提唱され,現在の呼称に至った.
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