特集 図説 胃と腸用語集2012
病理
内分泌細胞微小胞巣(endocrine cell micronest)
西倉 健
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
pp.839-840
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113410
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概念 胃の内分泌細胞微小胞巣(endocrine cell micronest;ECM)は,粘膜内の内分泌細胞が腺管外に集合体を形成したもので,大きさは50μm程度(48.5±14.1μm,自験例ECM 3,057例の平均)で,卵円形から円形ないし索状形態を呈し,萎縮胃底腺領域の粘膜深部に観察されやすい(Fig. 1).自己免疫性胃炎(いわゆるA型胃炎)や高ガストリン血症に伴って高頻度に観察される.通常,消化管クロム親和性細胞様細胞(enterochromaffin-like cells;ECL細胞)と呼ばれる内分泌細胞群から構成される.
内分泌細胞微小胞巣の組織発生 ECMの組織発生については以下のように考えられている.すなわち,(1) 胃底腺萎縮などによる胃酸分泌低下,(2) 低胃酸に対するフィードバックによるガストリン値上昇,(3) ガストリンの内分泌細胞に対するトロフィック作用の持続,(4) 腺管内の内分泌細胞過形成および集簇,(5) 内分泌細胞の腺管外への芽出および腺管自体の萎縮,(6) 腺管外にECMの完成,の経路が想定されている(Fig. 2)1)2).
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