今月の症例
伸展良好なlinitis plastica型胃癌
清水 宏
1
,
武本 憲重
1
,
馬場 保昌
1
,
丸山 雅一
1
,
柳澤 昭夫
2
Hiroshi Shimizu
1
1癌研究会附属病院内科
2癌研究会附属病院研究所病理
pp.876-878
発行日 1987年8月25日
Published Date 1987/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112981
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〔症例〕患者:55歳,女性.主訴:上腹部痛.家族歴:祖母が胃癌.既往歴:40歳より精神分裂病にて加療中.49歳時に右乳癌手術.現病歴:1981年5月,空腹時上腹部痛が2週間ほど続いたが放置していた.その間2回吐血.1982年11月,再び上腹部痛が出現し,同年12月13日に本院内科受診.同日の胃X線検査および12月27日のファイバースコープ(GTF-S3)で,胃体下部後壁の良性潰瘍と診断.1983年1月26日,ファイバースコープ(GIF-B3)の診断は良性潰瘍であったが,直視下生検組織診断は低分化腺癌であった.同年3月9日,本院外科で胃全摘術が施行された.
〔ルーチン胃X線所見(遠隔操作テレビ)〕(手術前約3か月)立位充盈像(Fig. 1)では,体下部小彎に小規模な陰影欠損および胃角のし開を認めるが胃壁の伸展はほぼ良好である.二重造影像(Fig. 2)では体下部小彎後壁に,わずかに不規則な円形のニッシェ(φ25mm)が認められる.ニッシェ周囲にⅡcを思わせるはみ出し様陰影は明らかでない.立位圧迫像(Fig. 3)では,ニッシェ周囲に透亮像が認められるが均一でない.
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