Japanese
English
今月の主題 胃の腺腫とは―現状と問題点
主題
胃の腺腫:私はこう取り扱う
Gastric Adenoma: Its Diagnosis and Clinical Management
竹腰 隆男
1
,
高木 国夫
2
,
加藤 洋
3
Takao Takekoshi
1
1癌研究会付属病院内科
2癌研究会付属病院外科
3癌研究会付属病院病理
pp.683-688
発行日 1987年6月25日
Published Date 1987/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112896
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病理組織学的に良性と悪性の境界領域病変に対して異型上皮巣,中村(卓)のⅢ型ポリープ,Ⅱa-subtypeなどと呼称し,臨床・病理所見について詳細な報告がある.1977年WHOの組織分類により胃腺腫の名称を用いることが提唱され,喜納らは国際通用性を考え腺腫の名称を用いることを提唱し,flat adenoma(扁平腺腫),colonic adenoma(大腸型腺腫),gastric adenoma(胃型腺腫)に分類している.加藤は隆起型異型上皮巣については腺腫の名称を用いてもよいが,平坦や陥凹型病巣では本態が明確でなく異型上皮巣の名称を残すべきとしている.1970年より1984年までに癌研外科切除全割標本の病理検索で発見された異型上皮巣は224病変である(Table 1).隆起型異型上皮巣が74.3%と最も多く,平坦型14.5%,陥凹型病巣11.2%であった.陥凹型病巣を喜納はdysplasiaとしているが,名称の不統一さはまぬがれなく,困惑を覚えるのは筆者のみではあるまい.病理,臨床ともに利用しやすい名称の決定を期待し,本稿では癌研伝統の異型上皮巣の名称で論じ,異型上皮巣の診断の実態を記し臨床的取り扱いについて言及する.
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