今月の主題 早期胃癌〔3〕
症例
Ⅱcと鑑別困難なる良性潰瘍の瘢痕像について
内海 胖
1
1東京大学医学部吉利内科
pp.277-278
発行日 1966年6月25日
Published Date 1966/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112014
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胃癌について早期癌というものが,肉眼的な所見から全面的にとりあげられるようになったのは,村上教授のたゆまざる癌への形態学的な観察にはじまるといってよいであろう.
すでに現在全国的に普及した早期癌の肉眼的分類は,内視鏡像に肉眼的所見ないしは組織学的所見のうらづけをもつものであり,私としてはBorrmannの業績と同等に,その価値を認めたいと思っている.そもそもある一群の疾病の分類は,実際に簡単で,かつまた利用価値の多いものが,最後まで残るということは歴史が証明している.もちろん多年にわたって多少の論議や,異論が提出され検討され,さらに理想的なものになっていくことは当然である.当初から完壁を求めることはそれ自体無理であり,あえていえばその後に多くの混乱をきたすことはいうまでもない.かかる意味合からも村上教授を中心として分類した早期癌の,主として深達度に重点をおいた内視鏡学的分類は,永遠に残るものと考えている.(第四回総会,昭和37年)
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