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編集後記
望月 孝規
pp.1604
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111721
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膵癌についての包括的な統計は,どうしても剖検症例の検索によるしかいたし方ないのが現状である.それほど膵癌は,臨床的に診断しがたく,また診断しえてもすでに根治手術の不可能な場合がほとんどである.かつて,胃や大腸の癌の場合でも,同様な経験を重ねた末,診断法や手術手技の進歩とともに,現在のように多数の根治手術が行なわれるようになった,膵癌においても,将来,次第に根治手術症例が増加することを期待して,この特集が計画された.
膵癌の特徴として,発生部位によって症状や癌の進展が異なり,一方膵という後腹腔臓器の位置,隣接臓器や組織との位置的関係が,その診断と治療をむずかしくしている,膵癌の診断法は,胃や腸のごとき管腔臓器の診断に比べ,より総括的でなければならず,また他臓器の病変も常に考慮されなければならない.その意味で,諸種の診断法の総合的な適用が必要である.
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