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編集後記
増田 久之
pp.1200
発行日 1971年8月25日
Published Date 1971/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111640
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胃の幽門に近接する部位は,胃の他の部位に比べて狭く,細くなっており,運動もきわめて活発で,解剖学的ならびに生理学的に特殊な部位であることは,従来から指摘されている.またこの部位は慢性胃炎,胃潰瘍,胃癌など,多くの胃疾患の好発部位であるが,この部位に発生するものは,他の部位に発生したものに比べて,同じ疾患でも,かなり様相を異にしており,臨床上きわめて重要な問題である.一方,胃レ線検査および内視鏡検査の立場からみても,この部位は観察ならびに撮影に大きな困難を感ずることが多く,十分な検査といえない場合が少なくない.したがって,従来からこの部位の良悪性潰瘍の鑑別診断はとくに問題にされている.
このような幽門前部の特殊性について検討を加えるのが本号の企画である.しかしこの部位の区分および名称については,各学者によりまちまちで,なお統一的な見解はない.本号では,幽門前部の解剖学的ならびに生理学的特殊性(福地,為近ら,増田),痙攣の問題(増田),良悪性各疾患の特殊性の問題(佐田ら,高木,為近ら,増田)について,それぞれの立場から検討を加えて頂いた.
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