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編集後記
増田 久之
pp.391
発行日 1968年3月25日
Published Date 1968/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110695
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本号のテーマには2巻12号の小腸に続いて大腸が選ばれた.大腸はこれを検査する上からみて,小腸ほどではないにしても,盲点であり,その方法が上部消化管,ことに胃に比べて進んでおらず,疾患を見逃すことが少なくない.しかも大腸には小腸に比べて癌をはじめとする諸種の疾患が多く,ことに機能異常を加えると,消化管疾患のうちのかなりの部分を占めている.漠然と慢性胃炎と考えている患者のなかに大腸疾患,とくに刺激結腸がかなり多いことはよく経験されることである.また結腸癌,直腸癌には発見が困難な場合があり,見逃される場合が少なくないが,これらの早期癌が少ないことはこの事実を如実に物語っている.従来から大腸疾患は欧米諸国に比べてわが国には少ないと考えられていたが,これは必ずしも妥当ではなく,わが国でも大腸疾患は増加しており,予想よりはるかに多いと考えられる.10年位前までは結腸憩室はほとんどみたことがなかったが,最近ではけっしてまれではない.
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