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編集後記
田中 弘道
pp.233
発行日 1971年2月25日
Published Date 1971/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111486
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1966年4月,創刊号が発行されてからすでに5回目の正月を迎えた.白壁教授のX線診断で幕を開けた早期胃癌の診断も,2cm以下の微細病変へと進み,第3巻では異型上皮と前癌病変が取り上げられ,次いで癌深達度の診断が論述された.昨年はついに1cm以下の微小胃癌の診断が登揚するにいたり,術前診断に関しては究明し尽されたといえるかも知れない.それだけに豊富な症例や生検診断に裏付けられて,発癌の問題,癌の発育の問題あるいは早期胃癌と進行癌との関連などより根源の問題点にメスが加えられてきた感が深い.今年度も年頭にあたって早期胃癌が主題として取り上げられ,本号では陥凹型早期胃癌のX線診断,内視鏡診断に関する問題点が明らかにされたが,さらに中村博士によって潰瘍癌の再検討が行なわれた,潰瘍の癌化か?癌の潰瘍化か?についての一つの考え方が浮き彫りにされたが,臨床的な,prospectiveな立証の重要性があらためて痛感される.
症例欄の経時的変化が明らかにされた細網肉腫例なども読者の血となり,肉となって吸収されることであろう.
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