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編集後記
田中 弘道
pp.1056
発行日 1969年8月25日
Published Date 1969/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111097
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読者の諸先生方と一丸となって取り組んできた早期胃癌診断学への努力が海外医師団への診断講習会という形にまで結実してきたことは,本号の村上忠重教授の印象記にみられる通りであり,診断の実際にたずさわっているわれわれ1人1人が一層の充実感と使命感を憶えずにはいられまい.
さて,本号では「良性様所見を呈した生検陽性例」が特集され,同じ主題の座談会を取り上げました.いくつかの検査法を組合せることにより,総合診断率がどれ程たかめられるかという論議から脱脚して,内視鏡およびX線という肉眼単位での診断法の極限にまでいどみ,その結果,真に肉眼形態的に良性としかみえない早期胃癌がどれ位あるのか?それはどんな型のものか?どんな時期のものか?という単に診断上の観点のみではなく,早期胃癌の病態に関する本質的な問題が論議されており,いよいよ臨床診断学と病理発生論との連結部分へと発展しそうな感じである.ここまで掘り下げられると,観察下における正確な狙撃生検が要求されるのは勿論であるが,このためにも生検部位の客観的立証が不可欠であるように思われる.
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