追悼
増田久之先生追悼の辞
大柴 三郎
1
,
石川 誠
2
1大阪医科大学第2内科
2山形大学第2内科
pp.522
発行日 1983年5月25日
Published Date 1983/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109429
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「胃と腸」の編集委員会を代表して故増田久之先生の御霊前に謹んで弔辞を捧げ,哀悼の意を表したく存じます.
増田先生は大正10年大分県に生を受け,御両親の温かい愛情と厳しい躾に育まれつつ,京都府立一中,旧制第二高等学校,東北大学医学部を卒業され,昭和22年春東北大学黒川内科に入局されました.先生の研究の足跡は胃液分泌動態と消化器疾患のX線診断学に尽きると思われます.昭和27年私が入局した当時,小さな研究室に籠り,各種条件下における胃液分泌動態と胃内温度,更に胃液電解質の研究に没頭されておられました.また,恩師黒川先生の御業績である胃癌のX線狙撃撮影の後継者として,消化管のX線診断学に情熱を燃やしておられました.昭和32年パリで開催された万国地理病理学会において“日本人の胃潰瘍”について黒川先生の代理として講演されましたが,その折,わが国の主な研究施設の御協力のもとに数千例の症例を集められ,その分析に幾夜を徹して努力されていたお姿が生々しく甦って参ります.昭和44年文部省在外研究員として西独エルランゲン大学のDemling教室に遊学されましたが,その間も数年前から着手されていた“X線像による消化管診断学”の完成に全精力を傾注され,昭和52年遂にこれを集大成されました.全5巻に及ぶ大著であり増田先生のライフワークとして万人の等しく認めるところでありましょう.
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