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Frequency of upper gastrointestinal lesions in patients with liver cirrhosis: Sacchetti C, et al (Dig Dis Sci 33: 1218-1222, 1988)
肝硬変に伴う血行動態の変化が,上部消化管粘膜に何らかの変化を惹起しうることは想像に難くない.一方,上部消化管出血は全身的凝固能の低下と相俟って,肝硬変の重篤な合併症の1つであるが,近年の研究では静脈瘤よりも,むしろびらん巣や消化性潰瘍が出血源となることが多いと報告されている.しかし,これら上部消化管病変の出現頻度に関する報告は,ほとんどなされていない.そこで,著者らは種々の重症度の肝硬変患者142名について胃・十二指腸病変の出現頻度をprospectiveに調査した.また,対照群として肝生検で再生結節の存在が否定された63名の軽症肝疾患患者を選ぶと共に,肝硬変の重症度と消化管病変の出現頻度の相関を検討するために肝硬変患者をChild-Turcotte基準のPugh修正案に従って3群に分類した.確認された内視鏡的粘膜病変は消化性潰瘍,びらんおよびこれらを伴わない胃・十二指腸炎などであった.消化性潰瘍の出現頻度は肝硬変患者と対照群で差はなく,胃・十二指腸炎は肝硬変患者に多くみられたが,有意差を認めなかった.これに反して,びらん病変は肝硬変患者で有意に多く(29.6%vs11.1%,P<0.01),しかもChild A,Bがそれぞれ21,および26%であったのに対して,Child Cでは48.4%と上昇し,重症度との相関がみられた.こ
のような調査結果を得た背景として,著者らは肝硬変に続発する門脈圧亢進症が惹起する上部消化管のうっ血性変化,ならびに異化の亢進がもたらす防御因子の産生低下などにより,正常の粘膜修復機転が阻害され,攻撃因子に対する粘膜の脆弱化が起こっているのではないかと考えている.
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