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編集後記
斉藤 利彦
pp.116
発行日 1989年1月25日
Published Date 1989/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106382
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本年早々の特集「噴門部陥凹型早期胃癌の診断」が企画されたが,難題とも言えるテーマで,前途多難な船出となった感もある.しかし,本年も実り多い順風満帆の航海となることを期待したい.さて,噴門部の早期胃癌ですら,例数は少なく,執筆者をはじめ座談会で発言された諸氏も当惑されたことと思う.以前,盲点とされていた噴門部の撮影は至難の業であり,その結果,機器の改良―試作V-A型胃カメラの誕生となった記憶があり,噴門部の撮影像が得られたときの喜びが今更のごとく思い出される.既に二十数年を経た現在,だれでも撮れる機器―panendoscopeの発達には目覚ましいものがある.しかし,いざ病変噴門部陥凹型早期胃癌となると,まだ十分に検討に足る例は少ない.この特集も,今後,病態解明(診断)の一歩となることを期待したい.ややもすればX線検査が軽視されがちな昨今,特集はX線診断の難しさを浮き彫りにしており,時々,学会などで拝聴しているが,西俣氏らの地道な努力には頭が下がる.病変の描出手技に大いに参考になる反面,その達成は並大抵ではない.改めてその診断の難しさを理解していただけるものと思う.画像化の時代を迎えた現在,噴門部の病変にも,今後,新しい発想の転換を求めるのも夢ではない.
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