--------------------
海外文献紹介「リンパ節転移を伴った大腸癌切除後の生存率に関与する病理学的決定要因」
新田 康夫
1
1愛知県がんセンター消化器内科
pp.1376
発行日 1994年12月25日
Published Date 1994/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106034
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
Pathologic determinants of survival associated with colorectal cancer with lymph node metastases: Newlaand RC, Dent OF, Lyttle MNB, et al (Cancer 73: 2076-2082, 1994)
著者らはリンパ節転移を伴った大腸癌の根治的切除を行った症例において,どのような病理学的因子が予後を反映しうるか検討を行った.対象は6か月から215年にわたって追跡調査された579人の患者で,炎症性腸疾患,家族性大腸ポリポーシスの疾患は除外した.
15因子について検討がなされ,多変量解析の結果,6つの病理学的因子が予後と有意の関連を示した.その関連の強さの順を以下に示す.①リンパ節転移の程度,②癌の漿膜表面への浸潤,③癌の固有筋層より深部への浸潤,④直腸に病変が存在すること,⑤静脈侵襲,⑥腫瘍の高悪性度(分化度,浸潤形式など)であった.年齢,性別についても有意な関連が認められたが,腫瘍の大きさ,リンパ節転移の数については,今回は有意な予後因子とは認められなかった.特にリンパ節転移の部位が最も重要であり,先進リンパ節の転移はDukesによりDukesCを亜分類するのに用いられている.更に固有筋層を越えて拡がっているかどうかを加味したものが,Astler-Collerの亜分類として用いられている.今回の研究の結果を通して,著者らは,以上の6つの独立した病理学的要因今後予後の異なる患者グループの層別化に用いることを奨めている.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.