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編集後記
中野 浩
pp.492
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105786
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大腸Crohn病の中で縦走潰瘍や敷石像が診断時に認められない非定型例の頻度は15~32%であるが,そのうちの多くの例は見直し診断,また経過観察でCrohn病の診断がついている.その診断の拠り所はX線所見では縦の変化であり,内視鏡所見ではアフタ様病変の存在である.このような所見を捉えることは「胃と腸」流の詳細な診断法をもってすれば,そう難しいことではなく,このような症例,また,欧米で言われるindeterminate colitisの頻度はもっと減少するであろう.そして,このような例はCrohn病の発症初期,緩解期,治癒期,また,激しい増悪期に当たる症例に多く,改めてCrohn病の病像の多彩さを知る.
本号をみると,診断をつける点から,また,病態を解明するうえで厳密な経過観察の重要性を痛感させられる.医師間の交流をはかり,お互いに経過観察の重要性を認識し,資料を整えるといった態度が必要であり,その裏には思いやりに基づく患者との信頼関係の確立が欠かせない.
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