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編集後記
渕上 忠彦
pp.1640
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104603
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早期大腸癌に関する多方面からの研究が盛んに行われているが,その多くはⅡ型,Ⅰs型に焦点が向けられている.本特集はⅠp・Ⅰsp型の臨床・病理学的特徴を明らかにし,治療方針の選択基準を明確にするねらいで企画された.この形態はsm浸潤度とリンパ節転移率,リンパ節転移危険因子も明らかではない.それらを検討するには多数例の分析が必要で統一されたsm浸潤度判定基準がいる.大腸癌研究会では絶対分類を統一するための基準線の設定が検討中である.臨床的には内視鏡切除例には応用できないが簡便な相対分類も捨てがたく,絶対分類か相対分類かの議論は学会に譲る.今回の特集で明らかになったことは,Ⅰp型にもリンパ節転移が少なからず存在し安易な内視鏡切除に警告が発せられた.病理学的なリンパ節転移危険因子は浸潤距離(執筆者で異なる),組織型,著明な問質反応である.形態的にsm深部浸潤を示唆する所見は,不整形な頭部形態,太い茎が挙げられ,拡大内視鏡,超音波内視鏡による深達度診断は他の肉眼形態ほどは有用ではない,ただし,林らによる拡大内視鏡によるpit間の染色patternの検討はpit patternのみでは今ひとつすっきりしなかった早期大腸癌の深達度診断に新たな展開が予測される.Ⅰpは,sm深部浸潤を疑う所見がなければ内視鏡切除を行い,病理組織学的所見にて追加切除の適応を決め,Ⅰspは,Ⅰsと同様な深達度診断を用い,治療方針を決めればよいとの結論と思う.
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