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書評「内視鏡所見のよみ方と鑑別診断―下部消化管」
飯田 三雄
1
1九州大学大学院病態機能内科学
pp.1210
発行日 2002年8月25日
Published Date 2002/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104532
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多田正大,大川清孝,三戸岡英樹,清水誠治の4氏によって執筆された「内視鏡所見のよみ方と鑑別診断―下部消化管」がこのたび出版された.1年前に出版され,破格の売れ行きを示しているという「内視鏡所見のよみ方と鑑別診断上部消化管」の姉妹書である.本書も,以下のような理由から上部消化管編以上に好評を博することは間違いないと考える.
内視鏡,X線にかかわらず消化管の画像診断学を向上させるには,検討に耐えうる資料が揃った症例をできるだけ多数経験することに尽きる.その際,著者の序文にも書かれているように,1人の医者が自分で経験できる症例数は限られているので,他入の症例を見聞きすることが大切である.このような目的から全国各地で消化器関連の研究会が多数開催されており,著者らが常連の大阪の大腸疾患研究会や,東京の早期胃癌研究会もその1つである.これらの研究会では,1例1例についてX線,内視鏡,病理所見の対比が徹底的に討論され,診断力の向上に大いに役立っている.本書の執筆代表者,多田正大博士は,早期胃癌研究会の機関誌である雑誌「胃と腸」の編集委員長を長年務められた消化管診断学の権威者である.そのため,本書にも「胃と腸」誌の基本的な編集方針を随所に垣間見ることができる.すなわち,呈示された内視鏡写真はいずれも美麗かつシャープであり,また適宜挿入されているX線や病理などの内視鏡以外の画像もすべて良質なものが厳選されており,画像をみているだけでも楽しくなる.
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