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編集後記
門馬 久美子
pp.270
発行日 2006年2月25日
Published Date 2006/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104316
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内視鏡機器の開発とpanendscopyの考え方から,内視鏡検査では食道から十二指腸までを一度に観察するようになった.また,色素内視鏡検査を併用することで,病変の拾い上げ診断や,質的診断能も向上した.特に,食道では,ヨード染色で容易に扁平上皮癌が拾い上げられるため,スクリーニング目的のヨード染色が推奨されてきた.発見された食道表在癌の詳細な検討の結果,早期癌であれば局所治療のみで根治が期待できることが判明し,内視鏡的粘膜切除治療が開発された.最近では,早期癌発見のため,食道癌の高危険群を中心に多数の症例にヨード染色が行われている.しかし,ヨード染色は刺激が強く,染色により深達度の浅い病変は形態が変化する短所がある.また,ヨード染色には発見される不染帯すべてが必ずしも癌ではないなど,いくつかの問題があり,患者に負担をかけずに食道癌のスクリーニングができる方法が模索されてきた.
本号では,最近の検査機器の進歩から,食道癌の診断がどのように変化したのか,拡大内視鏡やNBIシステムの内視鏡による拾い上げ診断の実態,表層血管の拡大観察による詳細な深達度診断の可能性,さらに,食道癌の治療方針を決める上で最も重要な要素であるリンパ節の転移診断はどのように改善されたかなど,現在,消化器内視鏡医や食道癌の治療に携わる医師が最も読みたいと考える一冊がまとまった.ぜひ,明日からの診療に役立ててほしい.
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