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大腸における超音波内視鏡検査の適応
消化管における超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography; EUS)は,病変を発見することはできないものの,発見された病変の病理割面像に近い断層像を得られるという点でほかの検査法にはない利点を持つ検査法である.その適応としてはすべての大腸疾患と言っても過言ではないが,一般的に炎症性腸疾患においては注腸X線検査,大腸内視鏡検査に比較してその診断的役割は小さく,潰瘍性大腸炎において内視鏡的重症度と壁の厚さが相関することからむだな生検の回避が可能であるとの報告がみられる程度で,そのほか有効であるとの報告は少ない.一方,大腸の腫瘍性病変においては超音波内視鏡の診断的役割は大きい.すなわち,癌を含めた上皮性大腸腫瘍においては正確な深達度診断により,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection; EMR)を施行するか,手術を施行するかという治療法の決定に有用であり1)2),粘膜下腫瘍を含む非上皮性腫瘍では深達度,性状診断において極めて有用である3).
超音波内視鏡検査の種類
ほかの臓器におけるEUSと同様,大腸でも専用機(EUS)と鉗子孔から挿入可能な(高周波)超音波細径プローブ(ultrasound probes)の2種類に大きく分けられる.大腸の専用機は周波数7.5MHzで先端の硬性部も長く,通常の大腸内視鏡と比べて深部への挿入は困難であり,スクリーニング検査として用いるには適さない.通常,精密検査として深部で施行時にはスライディングチューブを装着してまず内視鏡を挿入,スライディングチューブのみを残して内視鏡を抜去し,スライディングチューブから専用機を深部へと挿入後施行する.一方,超音波細径プローブは通常の大腸内視鏡検査中に病変の発見と同時に施行可能であり,内視鏡直視下でスキャン部位の確認も可能なことから,専用機と比べると大腸のどの部位においても容易に施行可能である.
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