カラーグラフ 生検による組織診断・3
肝臓(I)
中沼 安二
1
1金沢大学医学部第2病理
pp.609-613
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902656
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生検の手技
肝生検には針生検と楔状生検がある.針生検のなかで,ブラインド生検は最も頻繁に用いられ,肝炎,肝硬変などのびまん性肝疾患の診断に有効である.エコーガイド下肝生検は,エコーで同定される限局性病変,あるいは不均一に分布する病変に対して,病変部を狙って行われる肝生検で,近年,画像機器の進歩により腫瘤性病変がしばしばみつかり,この手法がよく用いられる.腹腔鏡下肝生検は,腹腔鏡施行時に行う肝生検である.腹腔鏡による観察が同時に行え,病変が肝被膜あるいはその直下にある場合には,狙撃的な肝生検ができる.楔状肝生検は,診断価値のある病変が肝で散在性に分布する疾患の診断やHodgkin病などの悪性疾患の病期決定のため,試験開腹により行われるが,適応は限定される.また,開腹手術時,肝の限局性病変の診断やびまん性肝疾患の病理診断を目的に行われる.
胆道生検として,胆道内視鏡下に行う胆管膜のパンチ生検が現在,試みられている.
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