増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
緊急画像診断のポイント
19.胸部X線
水野 富一
1
,
渡辺 文彦
1
1聖路加国際病院・放射線科
pp.1698-1704
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900436
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胸部X線写真ほど費用,侵襲性,簡便性,迅速性に優れ,情報量の多い画像診断法は少ない.現在ではポータブル撮影でも画質はかなり向上しており,画質の悪い場合は,できるだけ再撮影をして,よい条件のX線写真を続影すべきである.異常所見の描出されていないX線写真をいくら眺めても,正しい診断には到達しない.
胸部写真の読影に際しては,古いX線写真との比較読影が非常に役立つ.とくに陳旧性病変や慢性肺疾患のある患者の場合は,新しく現れた所見を知るのに欠かせない.読影に際しては,異常所見を漫然と探すのではなく,臨床症状や検査結果から,可能性のある疾患群を頭に描き,胸部写真上にそれらに相当する所見がないかどうか,ひとつずつチェックし,微妙な所見も見逃さないように心掛けることが大切である.また,異常所見が認められない場合でも,正常の所見を呈し得る緊急病変の存在を心得ておくべきである(表).
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