連載 主治医の介入でこれだけ変わる! 内科疾患のリハビリテーション・21
疾患別リハビリ・運動療法の実際
肩痛
上月 正博
1,2
1公立大学法人山形県立保健医療大学
2東北大学
pp.954-959
発行日 2023年5月10日
Published Date 2023/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228971
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肩痛を起こす主な原因疾患は肩関節周囲炎である.肩関節周囲炎は中高年で退行変性を基盤とし,肩関節の疼痛と関節可動域(ROM)制限を生じ,拘縮しやすい疾患の総称である.「凍結肩」「五十肩」とも呼ばれる.画像所見では明らかな異常はない.
肩関節周囲炎の病期は,炎症期(freezing phase),拘縮期(frozen phase),回復期(thawing phase)に分類される.肩関節周囲炎による疼痛の原因には,腱板疎部の癒着,肩峰下圧の上昇,関節周囲の血流低下などがある.炎症期には関節包の伸張性が低下し容積が縮小し,関節内圧が上昇して運動時痛や安静時痛(夜間痛)が惹起され,疼痛のために自動運動が制限される.拘縮期には次第に滑液包,靱帯,腱板疎部,関節腔などで癒着が生じてROM制限をきたす一方,疼痛は軽減していく.回復期には疼痛やROM制限は改善するが,長期間(6カ月〜約2年)を要する.今回は,肩関節周囲炎に対するリハビリテーション(以下,リハビリ)・運動療法について解説する.
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