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抗ウイルス薬の登場によってB型・C型ウイルス性肝炎の治療は劇的に進歩し,ウイルス性の肝硬変や肝がんが減少する一方で,非B・非C型の肝がんは増加の一途をたどっている.そこには飲酒や肥満,糖尿病,脂肪肝などの生活習慣病が大きく関わっている.非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)は,非飲洒者における内臓脂肪蓄積を基盤として発生したインスリン抵抗性などの代謝異常により,肝臓に脂肪(中性脂肪)が過剰沈着した状態を示し,脂肪肝,脂肪肝炎,肝硬変を含む一連の疾患であり,メタボリックシンドロームの表現型の1つである.わが国ではNAFLD患者は生活習慣の欧米化とともに年々増加している1).
NAFLDは,病態がほとんど進行しない非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver:NAFL)と,脂肪変性・炎症・肝細胞障害を伴い肝硬変や肝がんへ進行し得る非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)に分類される.NAFLとNASHは一連の病態であるが,その進展メカニズムに関しては遺伝的背景の関与などが示唆されているものの十分には解明されていない.NAFLとNASHの鑑別には,肝生検による組織学的検査がゴールドスタンダードである.しかし,出血などの問題があり,手軽に行える検査ではない.近年ではMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体やオートタキシンなどの新規バイオマーカー,超音波やMRIによって肝弾性硬度を測定するエラストグラフィーといった低侵襲的な診断方法も開発されている.本稿では,NAFLDに対するリハビリテーション(以下,リハビリ)・運動療法を解説する.
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