特集 その考えはもう古い!—最新・感染症診療
扉
岡本 耕
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1東京大学医学部附属病院感染症内科
pp.558-559
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227572
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2020年末,日本の感染症学のバイブルともいうべき青木 眞先生の『レジデントのための感染症診療マニュアル』の第4版が出版された.初版が出版されたのが2000年であったので,そこから約20年が経過したことになる.私を含め多くのレジデント(そして元レジデント)がこの本を手に臨床感染症を学んできたこの20年の間,臨床感染症の教育に触れる機会は飛躍的に増え,日本の感染症診療の裾野は大きく広がった.「発熱・CRPや白血球上昇に対して抗菌薬を使わない」「問題の臓器・解剖と原因微生物を検討する」といった感染症診療の基本原則は,感染症診療にあたる医師の共通言語となった.一方,例えば抗菌薬の治療期間など慣習的に行われていたプラクティスを見直すきっかけとなるような知見も増えており,感染症診療も日々進化している.
2020年は,新型コロナウイルス感染症の登場とその世界的な流行によって,世界の風景と私たちの日常生活が一変した年でもあった.ただし,これまでもさまざまな新興感染症や再興感染症があり,新型コロナウイルス感染症についてもその流れの中で捉えると少し見かたも変わるかもしれない.また,新型コロナウイルス以外の感染症に日々遭遇することにも変わりはなく,それぞれの感染症について知識をアップデートしていく必要があることにも変わりはない.
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