特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ
扉
鈴木 昭広
1
1東京慈恵会医科大学麻酔科学講座
pp.1895
発行日 2018年11月10日
Published Date 2018/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225879
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
超音波装置の高性能化・小型化と普及に伴い,point of care ultrasound(POCUS)と呼ばれる「ちょいあて」エコーが急速に広まりつつある.スイッチを入れ,プローブを「あてて,見る」だけで必要な臨床情報がリアルタイムに得られ,疾患の鑑別や基本的な診療方針の決定がきわめて簡単に行えるようになってきた.例えば救急領域で外傷初期診療に用いられるFASTプロトコールは,外傷性ショックの90%を占めるとされる出血性ショックの検索において,体腔内の液体貯留をYESかNOかで判断できる優れたツールとして,本邦では十数年以上も前から用いられている.近年では外傷以外のショックも網羅するRUSH examや,呼吸困難のスクリーニングを行うBLUE protocolなど,エコーを用いた生理学的異常へのアプローチが充実し,浸透してきている.
また,簡単な医療処置や評価にエコーを用いることも普通に行われている.エコーガイド下の中心静脈穿刺などは医療安全の面からも優れており,院内での実施資格の取得にあたり,質の担保のために必須としている病院も多い.それ以外にも,胸水・関節・動静脈の穿刺や神経ブロック,生検などもエコーガイド下で行うことが広まっている.さらに尿閉の評価や尿道カテーテル挿入時の成否判断,残尿量の計測などでも,エコーは活用されている.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.