臨時増刊特集 図解 診療基本手技
Ⅲ 救急手技
D 緊急検査法
43.腹部超音波検査法
秋本 伸
1
,
及川 悦雄
2
1東京女子医科大学消化器病センター・外科
2東京女子医科大学消化器病センター・超音波検査室
pp.2342-2347
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220702
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腹部診療における超音波検査の位置
超音波検査(以下US)が他の画像診断法をはじめとした各種検査法に比べ際立った特色を持つ点は,かつては無侵襲の一点がそのすべてであった.Grey-scale表示と電子スキャナーの実用化以来,広いtarget・実質と血管など管状構造双方の情報獲得・real timeの情報獲得が主な特色として加わったと言えよう(表1).ここから導き出されるUSの役割は多岐にわたり,集団検診や人間ドックにおけるスクリーニングから治療方針決定にかかわる精密検査に及ぶ(表2).
重要な点は,腹痛や腹部腫瘤など多くの有所見患者に対するdecision treeにおいて,USは要めに位置し,診断から治療に至る診療の流れをいかに効率よく進めるかのキーポイントになるということにある.多くの腹部疾患の臨床にとってもはやUSは必要不可欠な手段であり,これを使いこなし,そこから得られる情報を的確に拾い出すことが,良い臨床医であるための条件の一つと言っても過言ではなかろう.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.