臨時増刊特集 エコー法の現況
Ⅲ トピックス
78.音響物理量の計測—伝搬減衰
スタント カワン
1
Kawan Soetanto
1
1東北大学抗酸菌病研究所・電子医学
pp.2508-2512
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220114
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隣りの物音や声はとかく気になるものである.ホテルなどで,隣りの部屋の前を通りかかると中の人の声が聞こえるが,部屋に入ってしまうと声が聞こえなくなるということがよくある(図1).これは音源となっている人と音を聞く人との間が薄いドアの場合と,厚い壁の場合とで聞こえる音の強さに差があることを意味している.つまり,音の強さがどのぐらい弱くなるか(減衰)ということが,音源と音を聞く人との間をさえぎるものの性質を表しているのである.
周波数が高くなって耳に聞こえない超音波でも,生体を透過するときに,生体組織の性質によって,音の強さや伝搬時間が変化することになる.このように,生体組織の超音波伝搬の様子がわかると有用な診断情報を提供できることになる.例えば,肝臓の診断の場合,一般には,血液検査を行っている.しかし,脂肪肝と肝硬変では,血液検査のみで確定的な診断を下すのは難しいと言われている.
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