感染症メモ
Aztreonam—最初のmonobactam剤
高橋 幸則
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.1322-1323
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219858
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ペニシリン(最初のβ-lactam剤)の発見以来,われわれは感染症治療において多大な恩恵を得ているが,近年においてもβ-lactam剤の発展は著しい.このような状況のもとでmonobactam(monocyclicβ-lactam)の発見は,これまでのβ-lactamに対するわれわれの考えと根本的に異なるものである.すなわち,第1にaztreonam(最初のmonobactam剤)は以前のβ-lactam剤の主要な守備範囲であったグラム陽性球菌および嫌気性菌には無効で,グラム陰性桿菌にのみ有効であり,第2にはほとんどのβ-lactamaseによる阻害に対して安定である.
aztreonamの作用機序はすべてのβ-lactam同様に細菌の細胞壁の合成を阻害することによる.そしてその構造は図のとおりで,各側鎖と作用上の特性を同時に示した.aztreonamは56%が血中の蛋白と結合し,約2/3が代謝をうけず尿中に排泄される.血中半減期は1.7時間である.抗菌力については前述したようにStreptococciやStaphylococciといったグラム陽性菌,また嫌気性菌にはまったく無効である.aztreonamの特徴的な抗菌スペクトラムは,院内感染の重要な原因菌であるグラム陰性桿菌である.表にlatamoxefおよびgentamicinとの比較を示した.
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