臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
骨盤
泌尿器系骨盤内腫瘍
pp.2297-2301
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217513
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経静脈性排泄性尿路造影,逆行性膀胱造影および膀胱鏡などでは主に膀胱の内腔の情報が得られるのに対し,CTはこれに加えて,腫瘍の臓器外への進展についての情報が得られるのが特徴である.ことに膀胱癌の壁外浸潤の程度,精嚢腺・直腸・前立腺・前腹壁への浸潤の有無の診断に威力を発揮する.その際,経静脈性水溶性ヨード剤に加え,膀胱内を尿,生食,空気,あるいはオリーブ油などによって充満させ,腫瘍部を上方にする体位でのスキャンが行われる.
また精嚢腺への浸潤を見るには,腹臥位にして,精嚢腺と膀胱壁が離れる体位でseminal vesicle angle4)を見ることが必要である.膀胱壁は造影により明瞭化されるため,造影後CTは必要である.ただし,腫瘍の範囲が不明確になるため,膀胱に多量の造影剤が排泄される前にスキャンを行う必要がある.松林らは膀胱腫瘍20例について〔腫瘍の幅/高さ〕を求め,1.0以下はすべてstageB1以下,1.5以上はすべてstage B2以上という報告をしている5).
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