今月の主題 めまいの基礎と臨床
「めまい」の治療
薬物療法—耳鼻科的疾患
松永 喬
1,2
1阪大
2関西労災病院耳鼻咽喉科
pp.728-731
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207200
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「めまい」の治療方針
最近,神経耳科医が主治医として治療にあたっているあまい疾患は,まず耳性めまいのすべてであるが,メニエール病確実例,ならびに疑い例6),内耳炎(中耳炎性,脳膜炎性),良性発作性頭位眩量症,突発性難聴,SM・KM中毒,ハント症候群,前庭神経炎,内耳梅毒,外傷性内耳・内耳道障害,加速度病などがある.次に椎骨脳底動脈循環不全症,高血圧症,起立性低血圧症,脳動脈硬化症,高脂血症のときの「あまい」,頭・頸部外傷後の「めまい」などを内科医,精神神経科医と相談して加療している.そのほか鼻性めまい,原因不明の眩量症4),とくに一般内科的,神経学的検査で明確に所見のない症例が神経耳科医の治療の対象疾患となる.
これらの疾患に対して,従来から抗めまい剤(めまいに対する薬剤のこと.以下同じ)としては,向循環改善剤(血管拡張剤,血流改善剤,血管強固剤,抗脂血剤,昇圧アミン剤などを便宜上総称していう.以下同じ),向神経剤(自律神経調整剤,phenothiazine誘導体,minor tranquilizerなどを便宜上総称していう.以下同じ),向脳代謝改善剤(脳,細胞,組織の代謝機能賦活剤を便宜上いう.以下同じ)およびビタミン剤の四者が一般に対症的に用いられ,利尿剤,ステロイド,抗ヒスタミン剤が選択的に用いられてきた2).
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