特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
III.髄液検査
髄液血球(赤血球・白血球)
角田 孝穂
1
1都立豊島病院・内科
pp.452-453
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205865
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異常値を示す疾患
正常な髄液中には,きわめてわずかなリンパ球と内皮細胞がみられるだけである,そのリンパ球の数も1mm3中2〜3個であるから,髄液中の細胞を算定して1mm3中5個以上の細胞が存在すれば異常で,細胞増多症という.
細胞増多症では細胞数とともに細胞の種類が問題となる.細胞の種類は多核白血球,好酸球,形質球,リンパ球,白血病細胞,腫瘍細胞などさまざまであるが,一般には細胞の種類を多核白血球と単核白血球(そのほとんどはリンパ球)に区分して,その比が記載される。細胞数の算定に赤血球は除外され,それ以外の細胞を数える.髄液を採取する時にしばしば人工的出血をきたすこともあるが,人工的出血によるものでない赤血球を認めれば異常である.きわめて大量の赤血球を認めた時は脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血で,そのほか脳内出血の脳室穿破,動静脈奇形の破裂によるクモ膜下出血,脊髄出血などでも大量の赤血球を認める,ヘルペス脳炎において赤血球を認めることは特徴的であるが,その程度は少数のものから大量までさまざまである.
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