内科関係学会の話題
肺の末梢病変の診断法が焦点—第14回日本胸部疾患学会総会から,他
田中 元一
pp.908-913
発行日 1974年7月10日
Published Date 1974/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205496
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呼吸器疾患の多くは,X線検査,呼吸機能検査などさまざまな診断法を駆使することによって,診断が容易となってきているが,それでも現在なお解明の容易でないものに,細気管支以下の肺の末梢部分の病変がある.今回の本学会の焦点は,これらの問題に向けられていたといってよいであろう.横山博士の「肺の末梢領域における呼吸障害」は正にそのものについての特別講演であり,「大気汚染と呼吸機能障害の評価」も,そのほとんどが末梢気道病変の早期発見の方法論についてのシンポジウムであった.またこれら末梢領域に限局あるいは初発する疾患の1つは間質性肺炎であり,他は細気管支炎であって,これらの2疾患はまた今回はじめての試みであった本間教授司会のクリニカルカンファレンスの症例となっていた.
間質性肺炎には,膠原病,ブレオマイシンなど薬剤の副作用あるいは放射線治療などの原因あるいは基礎疾患の明らかなもののほかに,原因不明のものがあり,後者のうち急性に経過する型はいわゆるHamman-Rich症候群といわれるが,最近比較的慢性の経過をとるものが増加しつつある.いずれも肺間質の線維化が著しく,最終的には広汎な肺線維症ともいうべき状態に陥り,予後は極めて不良とされている,これら一群の疾患は,急性あるいは慢性びまん性線維化性間質性肺炎と呼ばれるようになってきている.一方,細気管支炎は本間,谷本らの提唱したびまん性汎細気管支炎を含めて,比較的細気管支に限局したびまん性疾患として認識されている.これら2疾患はいずれも呼吸困難を主症状としているが,その診断は困難のことが多く,最終的には肺生検によらなければならないといわれてきた.
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