文献抄録
喘息と情動—その原因と治療—Med j Aust I: 961-967 (June 25) 1955
浦田 卓
pp.1726
発行日 1965年11月10日
Published Date 1965/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201077
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
最近,糖尿病を一つの症候群syndromeと考える人がわが国でも増えている。喘息についてもまた,しかりである。というよりもむしろ,喘息は一つの症状symptomだといつたほうがよいかもしれない。
さて,喘息の病理であるが,これは細気管支のけいれんとその部分的閉塞であることは,周知のとおりである。しかし,この病理をひき起こす原因は,はたして何であろうか。一言にしていえば,アレルギーである。花粉その他,空中の塵などがアレルゲンになることは,だれでも知つている。しかし,案外忘れられているのは,細菌またはその産物がアレルゲンになつている場合である。いわゆる"喘息状態"にある患者に,抗生物質を投与したところ,その喘息状態がみごと雨霧消散した,などというのは,つまりこの感染によるアレルギー状態の場合なのである。
また,情動が喘息発作と相当密接な関係にあることは,医師,とくにホーム・ドクターの,つとによく知るところである。しかし,このような,喘息の心因性は,喘息の基礎的メカニズムというよりは,むしろ,これを惹起する誘発装置ともいうべきもののようである。
つぎは,「喘息と情劾」T. wright(Queengland Institute of Medical Research, Brisbane, Australia)よりの抄訳である。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.