診断のポイント
ピリンアレルギー
村中 正治
1
1東大・物療内科
pp.1643-1645
発行日 1965年11月10日
Published Date 1965/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201052
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ピリンアレルギーという言葉は日常しばしば用いられるが,その指す内容は使用者によりかならずしも一様ではない。第1にアンチピリンあるいはアミノピリン過敏症とともにアスピリン過敏症もこのなかに含めて考えられる場合が少なくない。しかしサリチル酸系統のAspirinとPyrazolone系統のAntipyrineとは化学構造上(表1)からも,過敏症状あるいはアレルギーでいう交叉反応から見てもけつして同じには取り扱えないので区別して考えるべきであろう。逆にPhenylbutazone(Butazolidin),Tanderilなどは明らかにPyrazolone系統に属するといえる。また現在ピリンアレルギーことにピリン疹という診断は極端ないいかたをすると,ピリンと名のつく薬剤が含まれている処方の薬剤の使用によつて固定疹,蕁麻疹などの過敏症状が生じた場合,ただちにつけられてしまう傾向がなしとしない。この傾向は統計上薬物アレルギーはPyrazolone系の薬剤によつてひき起こされる場合がもつとも多いといわれていることに原因があろうが,この点も反省の必要がある。筆者らが最近診察する機会をえたいわゆるピリンアレルギー150例を種々の面より検討した結果,以下のような過敏症者を含むことが判明した。
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