簡易臨床検査のやり方と評価
尿タンパク質検査法
林 康之
1
1順大臨床病理
pp.652
発行日 1964年8月10日
Published Date 1964/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200396
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尿タンパク質の検査は従来のズルフォサリチル酸試験,煮沸法がPH指示薬のタンパク誤差を利用した尿タンパク試験紙法の出現でいちじるしく簡易化された。尿タンパク検査はきわめて頻度の高いものであり,設備も場所も要しない試験紙法による簡易法は時代の要求に応えたものであろう。
試験紙の試薬塗布面を尿に浸し,ただちに引きあげ,過剰の尿を容器の辺縁で取り,色調表とくらべ,色調の程度によってタンパク含量をある程度推定する。試験紙には呈色試薬としてテトラブロムフェノールブルーのほか反応PHをなるべく一定に保つためにクエン酸緩衝液が塗布されている。操作上の注意は,この塗布された緩衝液を尿中で洗い流してしまわないことで,長時間浸したままにしておいたり,尿中で不必要に振り動かすと緩衝能がなくなり,尿のPHそのものの色調を示し,しばしば偽陽性の結果を示すことになる。
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