今月の主題 皮膚から内科疾患を疑う
Editorial
考える内科医のための皮膚所見の自然な理解
田中 勝
1
1東京女子医科大学東医療センター皮膚科
pp.8-10
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104961
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皮膚所見を読み取るときに大切なことは何か?
皮膚の症状をみたとき,特徴的な症状と分布から瞬時に診断名が決まってしまう場合も多いが,なかには皮膚所見からすぐに診断名が浮かばないときや,いくつかの鑑別診断が同時に頭の中に浮かんでしまい,正直なところ,悩ましいことがある.そのような場合,皮膚科医(私)はどのような思考過程をたどるだろうか?
鑑別診断がいくつか浮かぶ場合は比較的容易である.そのときは,鑑別のポイントを考え,経過や症状をさらに詳しく尋ね,血液検査や光線テスト,パッチテスト,鏡検などを行い,診断を絞ることができるからだ.しかし,診断が全くわからない場合にどうするか?自分の診療を振り返って考えると,まずは,背景に起こっているであろう<病理所見>を想像しながら皮疹を観察する.次に,皮疹の<部位>がどこに限局しているのか,あるいは全身に生じているのか,患者の<年齢>も考慮しながら鑑別診断を考えることになる.そのうえで,さらに必要な検査を追加し,皮疹のどこを生検すれば,予想された所見が証明できるのかを考える.視診・ダーモスコピー診・触診・鏡検・血液検査・画像検査は,鑑別診断を考えながら項目を選び,追加するという,ダイナミックなプロセスであり,考えた結果が診察の方法や検査の選び方に大きく影響を与える.そのため,症例ごとに施行する内容が大きく変わる.
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