今月の主題 内科外来でみるウィメンズ・ヘルス
ライフステージごとにみる諸問題【青年・成人期(性成熟期)】
Topic4 不妊の女性の悩みを知る
佐藤 孝道
1,2
1聖路加国際病院女性総合診療部
2NPO法人日本不妊カウンセリング学会
pp.2232-2233
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103120
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■不妊の治療法
不妊の治療法は大きく2つに分かれる.排卵障害があれば排卵誘発,あるいは子宮内膜症があれば腹腔鏡下治療といった,いわば原因を見つけてそれを治療する方法(一般不妊治療と呼ばれる)と,卵子や精子を直接操作する体外受精(in vitro fertilization:IVF),顕微受精(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)などの補助生殖医療(assisted reproductive technology:ART)である.近年,ARTは著しく普及し,現在わが国ではおよそ50人に1人が本法による出生とされる.
ARTはその高い妊娠率で不妊カップルの福音となり,少子化の流れのなかで公費助成の道も開けた.しかし,カップルの悩みがそれで解決したわけではない.第一は,35歳未満の若い女性だけを対象としても,生児獲得率(対治療開始周期)は25%前後で,75%は不成功に終わる.第二に,1治療周期当たり30万円前後の費用がかかる.第三には,増加しつつある高齢(特に40歳以上の)不妊女性に対する効果的な治療法とはいえず,生児獲得率は低いままである.第四に,ARTが効果的な治療法となる若い世代は,非正規雇用の拡大などで不妊治療を受ける経済的・心理的ゆとりがない.こうした閉塞的状況で模索しているのが不妊カップルである.かかりつけ医にはまず,そのことを理解していただきたい.
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